2012年7月25日水曜日

中国高速鉄道事故から1年 :まったく報道されず

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NHKニュース 7月23日 19時2分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120723/k10013790161000.html

中国高速鉄道事故1年 報道されず


中国東部で高速鉄道どうしが衝突して40人が死亡した事故から、23日で1年となりました。
しかし、犠牲者の追悼行事などは予定されていないうえ、中国のメディアは事故についてほとんど伝えなくなっており、事故の記憶を風化させることで批判の再燃を防ぎたいという、中国政府の思惑がうかがえます。

この事故は、去年7月23日、浙江省温州で、徐行していた高速鉄道の列車に後続の列車が追突し、一部が高架下に転落して、40人が死亡、およそ190人がけがをしたものです。

事故を巡っては、中国鉄道省のずさんな管理体制や、事故後に車両を地中に埋めた当局の対応に、国民の批判が高まりました。
この事故について、中国政府は去年12月、調査結果を公表し、列車の制御システムに設計上重大な欠陥があったうえ、落雷で信号系統が故障したあと、鉄道当局がずさんな対応をとったことなど、人為的なミスが重なったことが事故の原因だと結論づけています。

事故から1年となる23日、現場には、大勢の警察官や地元政府の関係者が動員されるなか、地元の住民が花を供える姿が見られました。
住民の男性は、
 「あれだけの大きな事故を忘れてはいけないと思い、犠牲者を追悼するために来ました」
と話していました。
ただ、温州市によりますと、犠牲者を追悼する行事は予定されていないということで、中国国内のメディアも事故についてはほとんど伝えなくなっており、事故の記憶を風化させることで批判の再燃を防ぎたいという、中国政府の思惑がうかがえます。

一方、事故のあと、各地で中断されていた高速鉄道の建設工事はことしに入ってから相次いで再開され、国民の間からは、安全確保が不十分なまま鉄道建設を優先させているという批判が出ています。
中国版ツイッターの「ウェイボー」には、
 「事故の調査結果を出してそれで終わり。反省も総括もない」とか、
 「亡くなった人々の命や、真相を隠蔽したことをきちんと覚えているのか」
などといった書き込みが相次いでおり、中国政府に対する国民の不信感は払拭(ふっしょく)されていないのが現状です。


 常識、あるいはごく一般的社会通念では考えられないこと。
 「国家の品格」と問えば、「ゼロ」となる。
 こういう倫理的道徳的な社会意識のない国家が大国として世界に君臨することになる未来はどうなるだろう。
 ほとんど、希望のない、暗い将来の展望しか描けない。
 世界はこれからどんどん社会的には落ち込んでいく。
 幅を利かすのは経済、いわば「ゼニ」。
 「拝金主義」、「向金主義」が世界共通の意識になり、道徳とか良心とか倫理とかいったものはフタをされる。
 粗暴な圧力が、心ある世界を踏み倒していく。
 そんな、未来がくるような構図しか描けないのが、これからの世の中であろうかと思う。
 中国の国家品格と比べれば、日本の国家品格は楽に80点は超える。
 「品格国家:日本」
と、胸はっても決して間違いにはならない。
 


FNNニュース (07/23 18:38)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00228037.html

中国高速鉄道事故から1年 
現場は異常な警戒態勢、警察が周囲警戒


中国・高速鉄道の事故から1年。見え隠れするのは、やはり中国政府の隠ぺい体質で、大惨事の現場には、驚きの光景が広がっていた。

2011年7月、中国・浙江省で起きた、高速鉄道の衝突・脱線事故。
落雷の影響で徐行していた列車に、後ろから来た列車が追突、40人が亡くなる大惨事となった。
遺族は「息子に何度呼びかけても、返事がないの。どうすればいいの」と話していた。
あの大事故から23日で1年、現場には驚きの光景が広がっていた。
高速鉄道の事故現場周辺には、監視カメラが設置されていて、当局が厳戒態勢を敷いている。
献花をする人などを監視するためか、事故現場には監視カメラが設定されていた。
日本なら、こうした日には、JR福知山線の事故の現場のように、献花台が設置され、追悼慰霊式などが行われるが、中国の現場には、慰霊碑など事故を思わせるものは一切なく、新たに周辺にできたのは、「安全第一」と書かれた自動車教習所だった。

追悼慰霊式は行われず、事故から1年を伝えるメディアの報道も、確認できていない。
それでも、23日朝早くには、事故現場に花を手向ける1人の男性の姿があった。
献花した人は
 「(ご家族の中で、どなたか事故に?)いいえ。当時、事故現場を見た者です」
と話した。
その後、事故現場には、周囲を警戒する多くの警察官の姿が見られ、出入りする人間を厳重にチェックしていた。
現場の真下には、事故が起きた7月23日の形に、ろうそくが並べられていた。
40人が犠牲になった現場に、わずかに供えられたろうそく。

中国内外からも、その安全性が疑問視されることとなった、この高速鉄道事故。
発生当時、世界を驚かせたのは、中国政府の隠ぺい体質だった。
高架から倒された列車は、巨大な重機で転がされると、重機で壊され、穴の中へ。
事故原因の究明もしないまま、車両を埋め、それを批判されると、また掘り出して搬出した。
そして、事故発生からおよそ20時間後、車両内からの生命反応はないと救助活動を打ち切ったあとに、2歳の女の子が救助された。
鉄道当局は、これを美談として報じた。
これに対し、普段当局を批判することのない中国メディアの一部も、「くそったれの奇跡」などと、異例の批判記事を掲載した。
事故でわき上がった、中国ではタブーのはずの当局への批判。
ところが、当時取材にあたっていた記者たちに、インタビューを申し込むと、新聞記者は
 「今は規定により、国内外のいかなるメディアの取材も受けられないのです」
と話し、週刊誌記者は
 「話せないことがたくさんありますし、徹底的に調べる方法もないのです」
と話すなど、当局による報道規制が。
この秋に行われる中国共産党指導部の交代を前にした微妙な時期にあたるからか、現在、この事故が報道されることは、ほとんどないという。

中国の内情にくわしいジャーナリスト・富坂 聰氏は
 「(事故は)非常に、政府が『民意の高まり』を警戒する対象になっているということですね。
 それが1つの塊になって、政治勢力化していくというのが、今、中国共産党にとって最大の悪夢なので。
 ある意味、そういうきっかけをつくるものは、1つでも嫌だというのが本音だと思います」
と話した。
事故で夫と長男を亡くした施海平さんは
 「一生、悲しみから抜け出せないでしょう。この子が大きくなって、物事がわかるようになれば、少しは変わるかもしれませんが。
 今は気持ちが沈んだままです」
と語った。
遺族たちが求めていた真相の究明は、いまだかなえられないまま。
亡くなった金顕眼さんの兄・顕及さんは
 「弟やおいが、いったいどこで亡くなったのか、知りたかったです。
 事故現場に行きたかったのですが、(当局が)入れてくれませんでした」
と話した。

こうした遺族たちの思いをよそに、隣の安徽省では、近所の住民が
 「2011年の後半は、工事が中断したが、2012年に入って再開した」
と話した。
事故後、一時中断していた高速鉄道の建設は、2012年に入り、続々と再開。
中国政府は、2020年までに、総延長1万6,000kmの高速鉄道網を整備する計画。
事故現場は、何もないというよりも、当局が何もないようにしているといった印象。
ただ、こうした中、現場では23日午後、近所の人たちが花を手向けにやってきた。
そして、「7.23 1周年」と書かれた横断幕を、事故現場の橋脚にくくりつけていった。
この日を忘れないでほしいというメッセージ。

一方、現場の警戒態勢も、異常なほどで、周辺は4台の監視カメラに加えて、23日は警察が常時、人の出入りを見張っていた。
メディアも含めて、現場を訪れる人、1人ひとりに身分照会をするといった物々しさだった。
こうしたこともあって、現場を訪れる遺族の姿は確認できなかった。
現場に来ているのは、日本など海外メディアばかりで、中国のメディアは、ほとんど取材に来ていない。
これは、当局が規制を敷いていて、独自取材や独自報道を禁止しているため。
中国では、この秋に、10年に一度という指導部の交代という一大行事が控えていて、政府に都合の悪い動きや情報は、徹底的に封じ込めようという強い狙いが見てとれる。





【国家の品格=ゼロ大国】



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